シンクロニシティ・マネジメント 堀内恭隆 公式ブログ

インスピレーション力®で「望む未来」を「偶然」からデザインする

IT界の巨人、ビル・ゲイツと対決する 〜「普通」になりたかったあの頃(5)

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大学時代の2年間で「7つの習慣」という本を20回読んだだけで、妙な万能感を身に着けた僕は、1500人ほどのIT企業に社長になるつもりで入社しました。


入社式では、周りを見渡し「いずれ全員俺の下で使ってやる」「ここにいる誰が、俺の幹部になっているのだろう」と “将来の部下たち” を品定めしていました。


入社式の時点で「社長への生き残りレース」はスタートしています。

頂点になるからには、その時点でのトップに常になっている必要がある。この時点で脱落しているようではお話にならない。


そして、今は先輩や上司という立場の人間も含めていずれは部下になるのだから、堀内という人間はちょっと普通と違うというところを印象付けなければならない。


僕が入社した会社はIX(現アイエックス・ナレッジ)という情報関係の会社です。


実は、パソコンもほとんど触ったこともなく、コピー&ペーストといった基本も知らない状態でした。

でも、「7つの習慣」という成功の基礎をオレは手にしている。IT関連の知識なんて、それと比べたら大したことはない。むしろ、マネジメント層になってから大きく差がつくだろう。と、肥大化した自信は揺らぎません。


正直なところ、パソコンの専門学校を出たり、学生の頃から身近に触れている人達には技術力や知識では、その時点で歯が立ちませんでした。


そこで、「仕事」で差をつけることにしたのです。


誰もやりたがらない仕事を積極的に取りにいくことにしました。上司が「ああ、困ったな。これ、誰かやるヤツいないかな・・・」と周りを見渡した時、それが周ってこないように視線をモニタから離さず「いま、いっぱいっぱいですから!!」と声を掛けるなフィールドを皆が張るようなものです。


それらの仕事を片っ端から取っていったのです。内容は確認しません。どうせわからないから。表情だけ、いかにも「ああ、オレそれ知ってますよ。軽くこなしてみせますよ」という風情で。

メールサーバという単語を聞いたこともないのに、「ああ、それなら2週間でできますよ」と仕事を引き受けて、そこから「メールサーバ」と検索エンジンで打ち、最初に出てきた100個ぐらいのページを全て印刷し読み込んでいき帰りがけに本屋に寄って「メールサーバ」と目についた書籍を片っ端から目を通していく。


そんなことを繰り返していました。これが面白いことに、できないことがないのです。


僕の中では、その頃には「7つの習慣」以外にも自己啓発や心理学の本を読み込んでいっていたのですが、「やると決めたらできる」とそこには書いてあり、事実そうだったのです。


できると思えば、何でもできるじゃん!社長にだってこうやって全部目の前のことへ取り組んでいけば、たどり着けるに違いない。

残業も徹夜も僕にはチャンスにしか思えませんでした。


会社に提出する資料も重要視していました。将来取締役になるような人も含めて、目を通す可能性が高いです。この時点から「堀内はものが違う」と印象づけておくことで、将来大きな仕事を任せてもらえるチャンスもでてくるだろう。


その時点で取ってこれる一番大きな仕事を先に取る。できるできないは関係ない。それをこなす。それを繰り返していきました。


次第に上司からも認められて、入社1年目の最後にそのチームのプロジェクトリーダーに抜擢されることになりました。さらに、別部門の取締役から「堀内くんを、ウチに欲しい」と有り難いお話をいただくこともありました。


ですが、僕のなかで焦りがありました。すっかり肥大化した自意識は、IT界の巨人、あのビル・ゲイツと自分をくらべるようになっていたのです。


いつのまにやら、社長をすっ飛ばして世界的企業グループのトップになっている自分を妄想するようになっていました。


「このままでは、ビルに追いつけない」「こうしている間にも、ビルも成長している。」「ビルのヤツに引き離されてたまるかっっ!!!」

このプロジェクト、ビルがオレと同じ立場だったら、どういう視点に立って、どう振る舞って、どうこなしているだろう・・・

この瞬間、ビルは何を考えているのだろう?オレとは視野や世界観は違うのだろうか?追いつくまでにどのぐらいかかるのだろうか?


職場のなかで、ひとりの新入社員とビル・ゲイツの孤独な戦いは続くのでした。